介護予防分野として日本初のSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)調査事業が
経済産業省委託事業として採択されました
2015年1月に厚生労働省が発表した推計によると、2025年に認知症の方は約700万人。65歳以上の高齢者に占める割合は、現在の約7人に1人から、約5人に1人に増えることが予想されています。それに伴い、社会保障費も増大すると考えられています。このように国の財政状況が逼迫する中で注目されている経済の仕組みが、2010年にイギリスで開発された、新しい官民連携の社会的投資モデルである、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)です。
今回の取り組みが実現すれば、日本初のSIB事例に
SIBとは、優れたサービスに、投資家が資金を提供してプログラムを実施し、削減された財政支出など、事業成果に応じて、自治体等が投資家へ成果報酬を支払う仕組みです。
経済産業省は、脳機能の維持・改善に効果があることが科学的に実証されている「学習療法」をSIBのスキームで行うという学習療法センターからの提案を、平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業(ヘルスケアビジネス創出支援等)の調査事業として、今回採択しました。
認知症学習者の介護度を良化することで、介護・医療費等の削減に貢献できるかが期待されています。また、今年度の調査事業を通じて、介護度・医療費を低下・維持させ、それに応じた成果報酬をヘルスケア事業者・介護施設が得ることができる仕組みを実証できれば、日本初のSIB事例となります。
SIB調査事業を、学習療法センターが行うにあたって
学習療法センター代表 大竹洋司
この度のSIB調査事業は、学習療法・脳の健康教室が、超高齢社会を迎えた日本にとって、いかに貢献できるものであるかを検証する活動です。
「音読や簡単な計算が前頭前野を活性化し、その機能を高めることが出来るのではないか?」という、東北大学・川島隆太教授の仮説を、科学技術振興機構(JST)「社会技術研究推進事業」の補助を受け、2001年9月から検証を実施。その結果、極めて高い効果が明らかとなり、学習療法・脳の健康教室が誕生したのです。
そして10余年が経過した今、認知症予防(進行抑止)事業における介護保険・医療費低減に対する効果・検証を行い、学習療法・脳の健康教室が、「いかに世の中や高齢者介護施設に貢献出来得るものなのか?」を明らかにするために、経済産業省「健康寿命延伸産業創出推進事業」へ公募した次第であります。
この度の採択を受け、学習療法・脳の健康教室の実践により、高齢者の認知機能の維持・改善はもとより、公的なコスト(介護費・医療費)への貢献や高齢者介護施設が地域に役立ち、ひいては施設の経営面においても大きく貢献出来る可能性を探る一助になればと願っております。
2025年には認知症高齢者が700万人以上にもなるとの予測がございます。学習療法センターは少しでも世の中に貢献したいと願い、このSIB検証活動に今年度全力で参加して参る所存です。
皆様のご理解、ご協力を、何卒よろしくお願い申し上げます。
平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業(ヘルスケアビジネス創出支援等)
成果報酬型ソーシャルインパクトボンド構築推進事業の概要
◎代表団体:株式会社公文教育研究会
◎参加団体:慶応義塾大学SFC研究所、日本財団
◎協力団体:福岡地域戦略推進協議会、株式会社くまもと健康支援研究所、慶応義塾大学医学部、三井住友海上火災保険会社、福岡県(福岡市、
大川市、宗像市)、熊本県熊本市、奈良県天理市、長野県松本市、九州・首都圏の45の介護施設。